「デジリハ」という言葉を耳にしたことがあっても、具体的にどのようなツールなのか、リハビリにどのように役立つのかは分からないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、デジリハの基本的な仕組みから期待できる効果、そして実際に障がい児支援の現場で活用しているライフウェルの取り組みまで、順を追ってわかりやすくご紹介します。
デジリハとは

デジタルアートとセンサー技術を組み合わせることで、リハビリそのものを遊びに変えてしまう。それがデジリハという新しいツールの発想です。
開発を手がける株式会社デジリハは、医療福祉とエンターテインメントの融合を掲げるNPO法人Ubdobeの一事業として活動をスタートし、2021年7月に法人化されました。
同社が発表したプレスリリースによると、デジリハを導入する施設は放課後等デイサービスや特別支援学校、リハビリ専門病院、成人の障がい者向け通所施設など全国30施設を超え、資金調達を経て人材・開発体制の強化も進められているといいます。
まずは開発の背景や仕組み、実際にどのような場所で使われているのかを見ていきましょう。
デジリハの基本的な仕組み
デジリハは、画面に映し出されるキャラクターや光の演出が、手や指、視線などのわずかな動きに反応して変化する仕組みを持ったツールです。
専用のセンサーが利用者の動きを検知し、その情報をもとにデジタルアートやゲームの画面がリアルタイムに変化していきます。
難しい操作を覚える必要はなく、体を少し動かすだけで画面が反応してくれるため、小さな子どもから重度の障がいがある方まで、直感的に楽しみながら取り組むことができます。
デジリハが生まれた背景
デジリハは、もともと福祉とエンターテインメントを掛け合わせた活動を行っていた団体の取り組みから生まれました。
障がいのある子どもたちが遊びやアートに夢中になる姿を見て、その仕組みをリハビリに応用できないかという発想がきっかけとなり、専門の開発チームによって製品化が進められています。
現在は独立した企業によって開発・普及が続けられており、機能の追加やセンサーの種類も年々広がっています。
デジリハが広がっている現場
現在、デジリハは全国各地の児童発達支援や放課後等デイサービス、特別支援学校、リハビリを専門に行う医療機関など、さまざまな現場で導入が進んでいます。
障がいのある子どもだけでなく、高齢者施設で活用されるケースも出てきており、リハビリや療育の場における新しい選択肢として広がりを見せています。
導入する施設によって活用の目的や取り入れ方はさまざまで、個別のリハビリの一環として使われることもあれば、日々の療育活動の中に組み込まれる形で使われることもあります。
従来のリハビリとの違い
従来のリハビリでは、専門職が利用者の身体を直接支えながら動きを促したり、決まった動作を繰り返し行ったりすることが中心でした。デジリハは、こうした従来の手法を置き換えるものではなく、あくまで日々のリハビリと組み合わせて活用する位置づけのツールです。
診断や治療そのものを目的とするものではなく、楽しみながら体を動かす機会を増やすことで、通常のリハビリへの意欲や継続性を高めることを狙いとしています。
デジリハが注目される理由

なぜ、これほど多くの現場でデジリハが取り入れられているのでしょうか。その背景には、これまでのリハビリが抱えていた課題と、それに対するデジリハならではのアプローチがあります。
文部科学省がまとめた特別支援教育に関する有識者会議の報告書でも、ICTの活用は障がいの状態や特性に応じて学習の効果を高めたり、学習上・生活上の困難を改善したりするうえで重要な手段のひとつとして位置づけられています。
教育・福祉それぞれの分野でデジタル技術への期待が高まっている流れも、デジリハが注目される背景のひとつだといえるでしょう。
リハビリ継続の難しさという課題
身体障がいや発達障がいのある子どものリハビリでは、「やらされている」という感覚から意欲が続きにくいことがしばしば課題として挙げられます。
特に重度の障がいがある場合は動かせる体の範囲が限られてしまい、遊びや経験そのものの機会が不足しがちになるという現実もあります。こうした状況の中で、子ども自身が「もっとやりたい」と思えるようなリハビリのあり方が求められてきました。
成功体験を積み重ねられる工夫
デジリハでは、ほんのわずかな動きであっても画面上のキャラクターが反応し、光ったり音が鳴ったりといった形でフィードバックが返ってきます。
「自分の力で何かを動かせた」という体験が、子どもにとって大きな成功体験となり、次への意欲につながっていきます。
専門職の手を借りて体を動かされるのではなく、自分自身の意思と動きで結果を生み出せることが、デジリハならではの価値だといえるでしょう。
デジリハでできること

デジリハは、一人ひとりの身体機能や特性に合わせて柔軟にプログラムを組み立てられる点も特徴です。
デジリハ社の発表によると、現在はハンドトラッキング、ウェアラブル加速度計、測域センサー、視線入力センサーなど複数のセンサーが利用可能で、開発チームには障がい児を育てる当事者家族やリハビリ専門職も加わっているといいます。
ここでは、実際にどのような形で活用されているのかを具体的に紹介していきます。
使用するセンサーの種類
デジリハには複数の種類のセンサーが用意されており、指先や手のわずかな動きを感知するもの、腕や足など全身の大きな動きを感知するもの、視線の動きを感知するものなど、感知できる動きの範囲や精度がそれぞれ異なります。
リハビリの目的や利用者の身体状況に応じて、これらのセンサーを組み合わせたり使い分けたりすることで、より多くの方が参加しやすいプログラムをつくることができます。
一人ひとりに合わせた活用
同じアプリやセンサーであっても、利用者の身体機能や認知特性、リハビリの目的によって設定を細かく調整することができます。
反応のしやすさや動きの検知範囲を一人ひとりに合わせて変えられるため、重度の障がいがある方でも、その方なりのペースと動きでリハビリに参加できる点が大きな魅力です。
安全面への配慮
デジタル機器を使用するにあたっては、光の点滅による発作リスクへの配慮など、安全面での工夫がなされています。
あわせて、利用する際の時間や体調、周囲の明るさなどにも注意を払いながら活用することが推奨されており、専門職による見守りのもとで安心して取り組める環境が整えられています。
活用シーンの広がり
デジリハは、個別のリハビリの時間だけでなく、複数人で一緒に取り組む活動の中でも活用されています。
友達や支援者と同じ画面を見ながら取り組むことで、順番を待つ、一緒に喜ぶといった関わり合いが生まれる場面も見られます。
理学療法士や作業療法士による専門的なリハビリと組み合わせて活用されるケースもあれば、日々の療育プログラムの一環として取り入れられるケースもあり、施設ごとに活用の幅が広がっています。
デジリハの効果・メリット
デジリハを取り入れることで、リハビリの現場にはどのような変化が生まれるのでしょうか。デジリハの公式サイトでは、身体機能への効果やリハビリに対するモチベーションへの効果、効果的な使用方法などについて、現在も研究・検証が進められていることが紹介されています。
実際の利用者からは「まだやりたい、もっとやりたい」といった声が寄せられているといい、言葉でうまく表現できない方であっても、身体の反応から気持ちが伝わってくるという報告もあります。実際に導入している現場からは、次のような効果が報告されています。
動きの「見える化」による効果
デジリハでは、利用者のわずかな動きが画面上の反応として目に見える形で返ってきます。これにより、これまで気づきにくかった小さな成長や変化を、本人はもちろん、支援するスタッフや保護者も実感しやすくなります。
前回との違いに気づき、自分の成長を確認できることは、次への取り組みへの励みにもつながります。
主体性・意欲を引き出す効果
ゲームのような感覚で取り組めることから、「やらされている」感覚ではなく、自分から「やってみたい」と思える意欲を引き出しやすいことも特徴です。
支援者が一方的に体を動かすのではなく、本人の意思と動きを起点にした関わりが生まれやすくなります。
気持ちを伝えやすくなる効果
言葉で気持ちをうまく伝えられない子どもであっても、画面への反応や表情、体の動きを通して「楽しい」「もっとやりたい」という気持ちが伝わってくることがあります。
こうした非言語的なコミュニケーションの広がりも、デジリハがもたらす効果のひとつだといえるでしょう。
ライフウェルでのデジリハ活用

ここまでご紹介してきたデジリハの特徴を踏まえ、ライフウェルではどのように活用しているのかをご紹介します。
ライフウェルでは、壁に投影した映像への接触を感知する「HOKUYO」というセンサーと、腕や足の動きを感知する「Moffバンド」というセンサーの2種類を導入しており、お子さんの身体機能や反応のしやすさに合わせて使い分けています。
2026年3月からは、手や指の動きを感知する「Leap Motion」という新しいセンサーも導入し、手指の運動や、目と手を一緒に使う動き(目と手の協調)を引き出す活動にも取り組んでいます。
導入の目的
ライフウェルでは、重度の障がいがあるお子さんも数多く利用されており、遊びや経験の機会が不足しがちであるという課題を感じていました。
そこで、お子さん自身が主体的に参加できるリハビリの実現を目指し、センサーを活用したデジリハの導入を決めました。
専門職と連携した活用
導入にあたっては、日頃からお子さんと接している看護師や保育士、理学療法士、作業療法士がそれぞれの専門知識を持ち寄り、活用方法について話し合いを重ねました。
複数のセンサーを使い分けながら、お子さん一人ひとりの身体機能や特性に合わせた取り組みを行っています。
導入後も、スタッフ同士で使い方の工夫を共有しながら、より活用の幅を広げる取り組みが続けられています。
実際にデジリハを導入した経緯や、お子さんたちがどのように反応しているかについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
デジタル領域から行う支援|ライフウェルで「デジリハ」を導入しました!
まとめ
デジリハは、デジタルアートとセンサーの力によって「リハビリを遊びに変える」ツールです。重度の障がいがある子どもであっても、わずかな動きから「できた」という経験を積み重ねられる点が、多くの福祉・医療・教育の現場で評価されています。
従来のリハビリを置き換えるものではなく、日々の取り組みに寄り添いながら意欲や継続性を高めていく存在として、今後も活用の幅が広がっていくことが期待されます。
ライフウェルでも、こうしたデジリハの特性を活かしながら、お子さん一人ひとりに合わせたリハビリ・療育に取り組んでいます。
デジリハの活用やライフウェルでの支援内容にご興味のある方は、ぜひ一度見学にお越しください。
株式会社デジリハ|「デジリハ、プレシリーズA3ラウンドで資金調達を実施。導入施設は270ヶ所を突破!」(PR TIMES、2026年2月26日)
株式会社デジリハ(リハノワ)|「デジタルアート×リハビリで挑戦する新たな世界」
デジリハ 岡 勇樹|「デジタルとゲーミフィケーションにより『誰もが楽しめるリハビリツール』を目指す」(創業手帳)
「リハビリをエンタメに!『デジリハ』が2021年4月ついに正式リリース!」(NPO法人Ubdobe、PR TIMES)
文部科学省|「第11章 ICTの活用の推進」
デジリハ公式サイト|(利用者の声・研究連携等)
Digireha, Inc.「研究開発/受賞実績」
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