脳性麻痺と診断されたお子さんは運動障害以外にも他の症状と合併する場合も多くあり、代表的なものではてんかんや発達障害などが挙げられます。
また、脳性麻痺の運動障害では姿勢の保持が難しい点や適切な運動ができない場合も多くあることから、二次障害を引き起こすことも考えられます。
より良い状態で成長を促すためには、日々のケアやリハビリが大切です。
今回は脳性麻痺の合併症として、発症する可能性がある症状の種類を詳しく解説します。
それぞれの合併症の特徴を知ることで、事前に予防するなど適切なケアを行うことができるでしょう。
脳性麻痺とは
脳性麻痺は病気ではなく、赤ちゃんが母親のお腹にいる頃や出産時、出産1ヶ月後以内に受けた脳神経細胞の損傷による後遺症です。脳の損傷によって運動障害が引き起こされます。
脳性麻痺の原因はさまざまですが、先天性脳奇形、動脈の閉塞(血管障害)、母体感染、分娩児の低酸素、新生児脳症、後天性の脳損傷などがあります。
麻痺の型は4つに分類され、筋肉のこわばりや自分の意思と関係なく手足が動くなど、症状も個人差があります。
脳性麻痺について詳しくはこちらをご覧ください。
脳性麻痺の合併症
脳性麻痺の合併症として、発症する可能性がある症状を紹介します。
てんかん
てんかんとは脳の電気信号によって「てんかん発作」が起きる症状のことです。
てんかんにも種類がありますが、けいれんや手足のこわばりを引き起こしたり、欠神発作という突然意識がなくなる発作が起きることもあります。
脳性麻痺の合併症として、てんかんの発症率は約40%と高くなっているため、早期に治療を始める必要があるでしょう。
発達障害
脳性麻痺の合併症として発症する可能性がある症状は、精神遅滞や自閉スペクトラム症、学習障害などの発達障害も多く見られます。
その中でも、特に運動麻痺の分布が広いと発症する確率は高くなる傾向にあります。
発達障害は病気の区分ではないため、治療ではなく日常的な取り組みが必要となります。
摂食嚥下障害
摂食嚥下障害は食べること・飲み込むことがうまくできない障害です。
摂食嚥下障害のケアでは、リハビリや訓練を行うこともありますが、胃ろうなど胃から直接栄養を摂取するための医療的ケアが必要なこともあります。
病院や施設に相談し、適切な治療を行っていく必要があるでしょう。
呼吸障害
呼吸障害では、脳性麻痺の運動障害で起こる筋肉のこわばりや胸部の圧迫によって気道が狭まることで発生する障害です。
症状が重度である場合は、呼吸器をつけることもあります。
呼吸障害のケアにおいては、楽に呼吸ができて、唾液や分泌物を誤嚥しにくい姿勢設定や適度な運動と吸引や吸入、呼吸器に使用などの医療ケアを実施していく必要があります。
聴覚・視覚障害
脳性麻痺の合併症として発症する可能性がある症状として、斜視や眼振、難聴など聴覚・視覚に関する合併症も挙げられます。
聴覚・視覚の症状は気づかれにくい部分もあるため、まずは病院で症状の診断を行う必要があります。
日々の生活では、補聴器や眼鏡などの福祉用具を使用することで、症状のサポートをすることが可能です。
その他
合併症は特に個人差が大きいため、成長障害や睡眠障害、膀胱機能障害など合併症として発症する可能性がある症状はさまざまあるでしょう。
日頃から適切なリハビリや治療によって正しい補助を行うことで、緩和される症状や事前に悪化を防ぐことができる症状もあります。
合併症の治療・支援を行おう
合併症の症状を緩和するためには、日々の生活の中で行う医療的ケアやリハビリが大切です。
合併症の症状によっては日常的に補装具を使用したり、胃ろうや呼吸器の管理が必要になる場合もあるでしょう。
そのため、家庭や病院の取り組みだけではなく、医療的ケア児支援を活用して、専門の施設やリハビリを併用することで、より充実したケアを行うことができます。
医療的ケア児の支援について詳しくはこちらをご覧ください。
医療的ケア児の支援とは?取り組みやサービスについて詳しく解説
ライフウェルで行っている支援を紹介
ライフウェルでは、セラピストによるリハビリや看護師による胃ろうや呼吸器を使用しているお子さんへの対応ができる環境が整っています。
それだけではなく、ご家庭だけでは抱え込んでしまう悩みを話せる場所として、保護者の交流会を実施したり、福祉車両の展示会や福祉用具の勉強会など、ライフウェルだからこそできる取り組みをさまざま実施してきました。
保護者の皆さんがお子さんと一緒に気分転換・リフレッシュができるよう、定期的に遠足やイベントも実施しています。
詳しい取り組みの内容はこちらも合わせてご覧ください。
ライフウェルで取り組んでいる「医療的ケア児とご家族への支援」を紹介!
まとめ
今回は脳性麻痺の合併症として、発症する可能性がある症状の種類を詳しく解説しました。
脳性麻痺の症状はお子さんによって大きく異なり、合併する可能性がある症状の程度も個人差があります。
重度の症状では家庭や病院以外でも常に医療的ケアが必要です。
ライフウェルではご家族の方を支える取り組みもさまざま行なっています。
適切な支援・リハビリを行うために、頼れる相談先や施設をぜひ探してみてください。
ライフウェルでも皆さんのサポートを積極的に行なっております。
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