障がいのあるお子さんは言葉でのコミュニケーションが難しい場合や、表情やジェスチャーから様子を伺う必要がある場合も多くあります。
お子さんによって気をつけるべきポイントも異なることから、接し方に悩まれているご家族も多いのではないでしょうか。
ライフウェルで実際にご家族のご相談に乗ったり、過ごされているご様子を共有してアドバイスをすることもあります。
今回は障がいのあるお子さんと接する上で、ライフウェルのスタッフが心がけているポイントをご紹介します。
障がいのあるお子さんと接する難しさ
お子さんと接する上で通常のコミュニケーションだけではなく、どのように褒めたら良いのか、叱ったら良いのか悩まれているご家族の方も多くいます。
障がいがあるお子さんは症状や状態もさまざまなため、お子さんによって接し方が異なることも難しさにつながっているでしょう。
言葉によるコミュニケーションでも単語や音の響きから考えていることを感じ取ったり、表情やジェスチャーなどの動きからを読み取ることも大切です。
その日の体調や気分から現れる些細な変化を見逃さないことが必要となります。
障がいのあるお子さんと接する時のポイント
お子さんとの接し方はご家庭によって異なるように、全ての場合であてはまるものではありません。
大切なことはお子さんの感情や意思を汲み取るために、それぞれに合ったコミュニケーションの方法を模索することです。
ライフウェルでは重度な障がいを抱えているお子さんも多いことから、コミュニケーションではさまざまな工夫をしています。
今回はライフウェルのスタッフが心がけているポイントをご紹介します。
声掛けを工夫する
まずは、声掛けの方法を工夫することでお子さんから反応を引き出しやすくなります。
お子さんによっては自分に話しかけられていることがわからなかったり、難しい内容の声掛けでは理解ができずに反応をしていないということも考えられるでしょう。
だからこそ、「あなたに向かって話している」ということが分かるように、アイコンタクトやスキンシップを行いながら話すことも意識しています。
また、難しい言葉での声掛けや回答がしにくい質問ではなく、お子さんが「好き・嫌い」「はい・いいえ」などかんたんに反応しやすい声掛けを行うことも大切です。その他にも食事を終わりたいときに「ご・ち・そ・う・さ・ま」などをスタッフが一緒に声に出し、手を叩く回数で言葉を伝えるなども行っています。
表情やジェスチャーから読み取る
お子さんの反応は些細なものであることも多いでしょう。一般的な表情の大きな変化や身振り手振りではなく、口元の動きやアイコンタクト、指先、足先の些細な動きを注視しています。
瞬きの回数、目の動き、口を大きく開けるなどの反応からもお子さんの意思を感じるため、選択時には反応を引き出して待つことを心がけることもあります。それだけではなく、タッチングや手と手を合わせるタッチを行い、開始のタイミングやOK了承のアクションとして行うこともあります。
些細な動きでも楽しそう、困っている、怖がっているなど、感情を読み取り、表現の意味を理解しようとする姿勢が大切です。ライフウェルでは、スタッフ間でも情報共有を行い、お子さん一人ひとりと向き合ったコミュニケーションを行っています。
コミュニケーションツールを使用する
絵柄が描かれたカードやスイッチを押すことで動くおもちゃなど、コミュニケーションに使用できるツールを使うことも多くあります。
首を振る、手を上げるといった日常的な動作が難しいお子さんもいることから、一人ひとりにあった方法を模索することが必要です。
新しいものや人に触れるときは、緊張してしまい身体もこわばってしまわれるので、ゆっくりとした声掛けや事前に触ってもらうなどの対応を行うことも求められます。また、新しく何かをするときには絵や写真、実物をみていただき、反応を確認することも多くあります。
ツールを使うことによってお子さんにとって、よりかんたんな動作でコミュニケーションを取ることができる場合もあります。
日常的な変化を意識する
お子さんと長い時間を過ごす中で、動作の意味が理解できるようになり、コミュニケーションが取れるようになってきます。
その中で、今日はいつもと違う、と感じる日常的な変化を見逃さないようにすることも大切です。例えば、顔色から健康状態の変化を読み取ったり、使用しているモニターの数値の変化(spo2・脈拍)から快不快や心の動きとして参考にしています。
普段と異なる行動は体調が悪かったり、お子さんが違和感を感じている場合も考えられるでしょう。日々の行動やコミュニケーション方法を覚えておくことで変化に気付けるようになります。
ご家族への支援も実施
ライフウェルではご家族からご相談を受けることも多くあります。
実際に、ご家庭での様子とライフウェルで過ごされている時の様子を共有することで、お子さんの考えをより詳細に知ることができます。
ご家族はお子さんの「切り替えが難しい」という悩みを抱えていたり、「伝えたいことが伝わらない」とお互いに意思を伝えることの難しさを感じている場合も多くあります。
そのため、ライフウェルでの接し方を通して、ご家族にアドバイスをすることもありました。
ライフウェルで働くスタッフの声をご紹介!
ライフウェルでは作業療法士、理学療法士、保育士、看護師とさまざまな専門職員がそれぞれの視点を持って働いています。
今回は、日々お子さんと関わる中で、コミュニケーションを取る時に考えていることをご紹介します。
平野さん(作業療法士)
働きはじめた時、コミュニケーションの取り方は工夫が必要だと感じました。
それまで、言葉が発せない、コミュニケーションの手段が少ないお子さんと関わった経験が少なく、どのようにやりとりをして良いのか、はじめは悩みましたね。
何だか険しい表情をしている事はわかるけれど、何が原因なのか見当がつかないというようなこともあったんです。
しかし、一人一人の子どもたちの支援を行い、日々やりとりをする中で注意深く観察していくと、些細な表情の変化や手足のちょっとした動き、声の出し方などがその時々で違うことに気づきました。
こんな表情や声の出し方の時はどんな気持ちなのかと、スタッフ同士で話しあい、保護者に尋ねて確認する事などを繰り返し、徐々に一人ひとりの表現の方法を知っていきました。
こどもたちが表現したことをくみ取り、気持ちが伝わる経験を積み重ねていくと、子ども達は安心するのか、更にいろんな表情を見せてくれるようになります。
笑う表情の中でも、大爆笑!とか、にやりと笑うとか、得意げに笑うとか、ですね。
日々のかかわりの中で、今まで見たことのない表情や反応を見つけた時はとても嬉しい気持ちになります。
渡辺さん(看護師)
お子さんが私に対して何を伝えたいのかを、常日頃考えています。
ライフウェルには重症心身障害者のお子さんが多く通所しているのですが、自分自身でできないことや苦手なことがどうしてもあります。同時に、お子さんたちは自分の意思を伝えることが苦手なこともあります。
どこかが痛いとか、これができないなど、お子さんたちが抱えている不安や思いを汲み取り、適切に対応してあげることが私たちの役割だと考えています。
そのためには、お子さんたちの表情や身体の動きを細かく見るようにしています。そうすることで、お子さん一人ひとりのちょっとした変化に気づけるようになるんですよ。
例えば、何かを伝えたい時に眉毛をぴくっと動かしてくれるお子さんや、目で合図をとってくれるお子さんもいますね。
ちょっとしたお子さんからのサインを見つけていきながら、コミュニケーションを深めています。
入社した当初はなかなか気付けず、声をかけてみても反応してくれず苦労したこともありましたが、日々お子さんたちと関わっていく中で、少しずつお子さんたちからのサインを汲み取れるようになりました。
もしかして何か伝えたいことがあるのかな?と思い、声をかけた時に「はい」と返事を返してくれた時は、お子さんとちゃんとコミュニケーションができていると嬉しくなりますね。
小さなコミュニケーションを重ね、お子さんたちから笑顔を見られるようになると、自分もこの仕事をやってよかったと思えます。
まとめ
今回は障がいのあるお子さんと接する上で、ライフウェルのスタッフが心がけているポイントをご紹介しました。
お子さんによって異なるサインから読み取ることは難しく感じるかもしれませんが、お子さんの様子を長い時間観察していると分かるようになることもあります。
大切なことはお子さんの考えや感情を読み取ろうとする姿勢と、お子さん一人ひとりに寄り添うことです。
コミュニケーションはひとりで行うものではないため、相手を尊重してやりやすい方法を模索することも大切にしています。
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