ライフウェルは児童発達支援事業所、放課後等デイサービス、生活介護を運営しています。
小児分野に関する支援を行っており、重症心身障がい児のお子さんや保護者の方へあらゆるサービスを提供しているのが特徴です。
今回は児童発達支援事業所で働く保育士の長野さんへインタビューを行いました。
小児分野で働く保育士としての働き方や大切にされていること、1日のスケジュールまで詳しく教えていただきました。
まずは自己紹介をお願いします。
ライフウェルの新屋敷事業所に所属しています。保育士の長野と申します。
保育士として、保育園をはじめ相談業務など、未就学児に関わる現場で30年以上勤めてきました。ライフウェルでは、利用されているお子さんたちや保護者の皆様、他職種のスタッフと一緒に、楽しみながら日々の療育をおこなっています。
医療的ケアを必要とするお子さんや身体に障がいのあるお子さん達への支援に携わる保育士の現状を教えてください。
重症心身障がい児のお子さんが利用される事業所では、保育士は少ないという印象ですね。本来であれば複数名の保育士が所属し、意見交換を行いながら進めていきたいと考えていますが、現状ではひとつの事業所に保育士1名で、人数が足りていない状況です。
児童発達支援事業所については知っている保育士も多いとは思いますが、その中の重症心身障がい児の支援となると、関わりが難しそうというイメージが先行してしまうようです。
ライフウェルでの様子を多くの方に知っていただき、重症心身障がい児の事業所が保育士の働く現場のひとつとして選択肢にあがるようになってほしいです。
ライフウェルにおける保育士の業務内容を教えてください。
主に子どもたちの成長発達を促す活動や生活の支援を行っています。
活動や行事のプログラムを企画し実施したり、生活面(排泄、着脱、食事等)のサポートなど、他職種のスタッフと連携しながら進めています。
朝のお集まりで、季節の歌や手遊び、絵本や紙芝居の読み聞かせなど、楽しい雰囲気をつくり、その後の活動では、運動遊び、感覚遊び、リズム遊び、製作といった成長に欠かせない経験を取り入れています。
また、室内の環境作りも保育士の仕事だと思っています。季節感のある室内の装飾をしながら、物の配置や使いやすさなど、お子さんの安全に配慮して楽しめる環境を作っています。
その他にもお子さんだけではなく、保護者の方に寄り添う精神的なサポートもひとつの役割だと考えています。
保育園勤務を経験したからこそ気づいたこと、感じたことを教えてください。
お子さんと関わる事業所はいずれも、子どもの命を守る、子どもの成長発達を保護者と共に見守るという部分では、全く同じだと感じています。
障がいの有無にかかわらず、どのお子さんも可愛らしく愛おしい存在で、一人ひとりに思いを巡らせ、そのお子さんにとってベストの関わりを探っていく過程にも違いはありません。成長の喜びがやりがいにつながっていることも同じです。
具体的に保育園と児童発達支援事業所の違いを感じたことも教えてください。
一番の違いは、保育士だけでなく他の専門職が配置されているということです。看護師や理学療法士、作業療法士などさまざまな専門職がいることで、医療的ケアや訓練の必要なお子さんも安心して通えます。
具体的な活動では、保育園と違って戸外で走り回る活動はあまりありません。一人ひとりのやりたい気持ちやできる力の幅が大きいため、集団で一斉に同じことをする活動も少ないです。また、活動のねらいが同じでも、一人ひとり進め方や使用する道具に違いがあり、そのお子さんの「できる」を考えていきます。
それは各専門職の視点を総合して考えていくため、保育士だけでは思いつかないような、アプローチもあり、自分自身の成長にもなります。
保育士として活かされているスキル・経験があれば教えてください。
先ほどもお話ししたように障がいの有無にかかわらず、どのお子さんも可愛らしく愛おしい存在で、今までの経験が幅広く活かせています。
特に、言葉でのコミュニケーションが難しいお子さんや表現が苦手なお子さんの目線や表情、しぐさなどの非言語を受け取る力は、お子さんとの関係性の構築と、お子さんの意思表明に役に立っていると思います。
また、お子さんに関わる事業所ではいずれも、突然企画を実施したり活動をしたりするわけではなく、お子さん達の笑顔を見るために、さまざまな計画や準備をしています。長年の経験により、当日と同じくらいその経過や準備は大切と感じていて、そのスキルは活かせていると思います。
その他、歌や手遊び、声のトーンや大きさなど、場面に応じた接し方やお子さんの個性を尊重した関わり方など、積み重ねてきた経験全てが活かせる職場に出会えたと思っています。
反対に保育士だからこそ、難しいと感じた点や、それをどのように解決していったか教えてください。
初めは、医療機器や略語など医療の専門的な言葉に難しさを感じることもありました。
自分で調べたり、確認したりしていく中で、お子さんの命に直結する大切なこととして、意図を正しく理解し即座に対応する必要性を感じました。
わからないことは後回しにせず、その場で確認し解決するよう心がけ、積極的に他職種とコミュニケーションをとりならが、保育士としてできることは何かを常に意識しています。
1日の流れと保育士として心がけていることを教えてください。
09:00 受け入れ
随時、来所や送迎でいらっしゃるお子さんの受け入れがあります。
朝の支度や体温・体調チェック、出席ノートへのシール貼りなどをします。その後、自由遊びや個別課題、訓練活動などを行います。お子さんが安心して1日を過ごせるように、一人ひとりに合わせて「おはよう!会えて嬉しいよ」と心地よい挨拶をすることを心がけています。
保育士目線で感じた、その時のお子さんの様子やちょっとした気付きを他のスタッフに共有しています。
10:30 朝のお集まり
始める少し前から一人ひとりに声をかけ、お子さんが心の準備ができるように予告をしていきます。
挨拶、日にちや天気の確認、お名前呼び、手遊び、絵本、歌や楽器遊び、ふれあい遊びなど、スタッフとスキンシップをとりながら楽しく進めます。その中で、季節を感じたり、行事のイメージをふくらませたりできるよう、活動や行事とのつながりを意識して行っています。
11:00 活動時間
お集まりで心と身体をリラックスした後は、水分補給やトイレなどを済ませ、その日の主活動になります。運動遊びや感覚遊び、リズム遊び、製作などを行います。事前に計画準備をした内容を、一人ひとりに合わせて楽しく進めます。
親子療育の保護者の皆さんやスタッフも一緒になって楽しんだり、できたことを喜んだり、とても盛り上がる時間です。事前の準備をしっかり行い、皆で楽しめるよう雰囲気つくりをしています。
11:30 食事介助
昼食はお口から食事ができるお子さんもいれば、注入のお子さんもいらっしゃいます。
私は主にお口から食事ができるお子さんのお手伝いをしています。たくさんの量を食べることが難しいお子さんも多いので、先ずは、無理せず楽しく食事をしていただくことを大切にしています。その中で、「もぐもぐ、かみかみ、ごっくん」など必要な声かけをしながら進めています。
13:00 お帰りの会
食事の後は少し時間をおいて、一度お帰りの会をしています。
その時間にお帰りになるお子さんもいれば、お昼寝をしてからお帰りになるお子さんもいらっしゃいます。食べ終わった後の区切りとして、お帰りの人はさようなら、お昼寝をする人はおやすみなさいと場面を変換していきます。
その後、お昼寝をされるお子さんは、基本的に14:30までにはお迎えや送迎になります。
日々の活動以外に、ライフウェルで実施している行事についても心がけていることを教えてください。
ライフウェルでは季節の行事をさまざま企画していますが、全て事前の準備からていねいに行っています。
例えば、お芋掘りを企画した際は、事前に製作活動でお芋の形を作り、作ったもので引っ張るような手遊びをしてイメージを持っていただいてから当日を迎えました。
現在も夏に向けてお水遊びの企画をしているのですが、普段からお水に慣れていないお子さんが急にお水を触ると驚いて、「嫌だ」「怖い」という経験になりやすいため、ウォーターマットで遊んでみたり、お水を使った製作活動をしてみたりと、少しずつ水に触れる経験をしていただいています。
ていねいに少しずつ「怖くないよ、楽しいよ」と事前に伝えることを大切にしています。
予告をすることで、お子さんの楽しみにつながっていると感じられますか?
重症心身障がい児さんに限らず、お子さんにとって初めてのことは、不安で怖いのは当然です。「お水遊びは楽しいからしなさい」ではなく、お子さんたちが楽しみながら水遊びに向かえる道筋を作っていくことが大切だと思っています。自分から「やりたい」という内発的な動機が出てくるからこそ、新しいことを楽しめるのだと思いますね。
また、お子さんたちへの予告を通して、「この子はこれが苦手」ということに気づき、当日の支援体制が予測できる部分もありますね。予測できる準備をしっかり行うことによって、お子さんたちも楽しめるのではないかと思っています。
ライフウェルに通うお子さん達を支援していく中で魅力に感じたことを教えてください。
保育園は多くのお子さんと関わることから、時間の流れが早く慌ただしいことが多いと感じていました。ライフウェルでは、お子さんのペースで時間が流れており、一人ひとりとじっくり関われることが魅力だと思っています。
時間をかけてお子さんのことを知り、さまざまな支援の工夫をした時に表情や声でアクションがあると、とても嬉しいですね。お子さんに「伝わった」、お子さんも私たちに「伝えられた」、という相互のやりとりができたことは、やりがいにもつながります。
また、お子さん一人ひとりの必要な関わりや工夫は、他の職種のスタッフと一緒に考えるため、職種ごとの専門的な知識が混ざることも楽しいです。自分にはなかった新しい考えが、お子さんの経験を増やし、適切な支援の提供につながることは、とても嬉しいですね。
児童発達支援事業所で働くために必要なスキルはありますか?
保育士としてお子さんを大切にしていただくことが一番だと思います。
ピアノや絵が上手などのスキルよりも、お子さんのちょっとした変化を感じ取れる力、言葉にならない表情やしぐさから思いを受け取る力が必要です。それはお子さんと関わっている保育士の皆さんであれば、経験の中で自然と身に付いているスキルだと思います。
また、「これがわからない」と聞くことができる素直な気持ちも、お子さんを大切にすることにつながっていると思います。
技術的なスキルよりも素直さやコミュニケーションの取り方といった人柄が求められている現場だと感じています。
ライフウェルに向いていると感じるのはどのような人ですか?
保育士として明るく楽しむことが好きな方なら、皆さん向いていると思います。
お子さんの思いを受け取って、お子さんが楽しめる環境を作りたいと思う方、歌や遊びが好きな方、何よりも楽しい雰囲気を作ることが好きな方、大歓迎です。
児童発達支援事業所で働くことに興味がある保育士の方へメッセージをお願いします。
ライフウェルは残業や持ち帰りの仕事がない、時間を守れる勤務体制が整っています。
保育園ではままならない休憩時間もライフウェルではしっかりとることができ、近場でのちょっとした買い物や家の用事を済ませることもできます。子育て中の方や、介護をされている方でも時間通りに働けるので、長く安心して働ける職場です。
お子さんが大好きで、楽しいことを一緒に考えたいと思われる方は、ぜひ一緒に働きましょう!
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