障がい児支援

療育(発達支援)とは?なぜ療育は必要なの?療育の内容や効果について詳しく解説

療育とは障がいを抱えているお子さんに対して行う支援のことで、その範囲は多岐に渡ります。
ですが、療育や発達支援という言葉を知っていても、「何をしているのか」「どうして必要なのか」よく知らないという方は多いのではないでしょうか。

今回は具体的な療育の内容や効果、重要性について詳しく解説していきます。
今後療育を受けるお子さんがいる方は心配ごとも多いと思います。実際に療育の効果が出るのは1ヶ月から年単位の時間がかかるため、お子さんの成長に適した療育を行なっていくことが大切です。

療育(発達支援)とは

療育とは、障がいのあるお子さんやその可能性のあるお子さんに対し、個々の発達の状態や障がいの特性に応じて、今の困りごとの解決、将来の自立と社会参加を目指して支援することです。

療育という言葉は、整肢療護園初代園長高木憲次先生が創った「医療」と「教育」を行う概念的な造語でした。

「現代の科学を総動員して不自由な肢体をできるだけ克服し、それによって幸いにも回復したる肢体の能力そのものをできるだけ有効に活用させ、以て自活の途に立つように育成させること」 (引用:昭和26年療育第一巻 第一号より)

このように、医療的なケアやリハビリ、保育や学校教育を通して本人の持っている「発達する力」を最大限まで引き出しつつ、補装具や最新のIT機器など現代の技術も駆使して獲得してきた力を有効に活用していき、「生活する力」を育てていくことです。

また、北九州市立肢体不自由児施設「足立学園」(現在の北九州市立総合療育センター)園長高松鶴吉先生は療育を「注意深く特別に設定された特殊な子育て」としており、障がいをもったお子さんの家族に対する育児支援も重要となっています。

現在では、医療や教育の現場だけではなく、療育支援施設や保育所、児童発達支援事業所、放課後等デイサービスなどさまざまな支援施設へと支援を受けられる場所が拡大していっています。

療育の対象者

現在では対象となる範囲は広まっており、18歳以下の児童で身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)を抱えるお子さんは全て含まれています。

自費で受けることができる療育もありますが、専門的な施設で療育を受ける場合は、自治体から発行される「受給者証」の申請・取得が必要となる場合がほとんどです。

お住まいの地域で専門機関に相談し、対象となるか確認することをおすすめします。

療育の方法について

療育の方法や内容についてはお子さんの状態に合わせて行われるため、一概にはいえません。
ですが、療育の方法としては「個別療育」と「集団療育」の2種類があります。

個別療育

個別療育は1対1で行われる療育です。
集団の療育に適さないお子さんや医療的なケアや特殊な環境が必要な場合、集団で療育を受けるのが難しいことも考えられるでしょう。

個別での療育を行うことで、より個人の発達状況に合わせた細やかな支援を行うことができる点も個別療育のメリットです。

集団療育

集団療育は2名以上のグループで療育を行うことで、集団でのコミュニケーションや社会性も学べます。
具体的な療育内容は施設や年齢に応じて変わってきますが、スポーツや音楽など他の子どもたちと一緒に協力しながら行っていく療育内容も含まれていることが多くあります。

日頃から集団で生活することで、社会に出た際により集団に馴染みやすくなったり、友達との関わり方も学ぶことができることがメリットに挙げられます。

療育を受ける重要性と効果

「療育とは」の項目でも取り上げましたが、療育は「特殊な子育て」であるといわれています。そのため、お子さんのことを保護者の方々と一緒に見ていきながら、そのご家族にあった子育てを見つけていくことが重要となります。

子ども達の成長速度はとても早いため、なるべく早い時期から適切な支援を受けて、学習を積み重ねていくことで本来持っている能力をさらに引き出せたり、将来起こりうる二次障害を予防することができます。

また、受けられる支援の種類も多岐にわたるため、どのような支援があるのか、どの支援方法がお子さんにとって有効であるか、などの情報を集めて活用していくという観点からも早い段階で専門機関に相談することが大切です。

ライフウェルの療育の取り組み

ライフウェルではお子さん一人ひとりに合わせて、さまざまな支援を行っています。
今回はライフウェルで実施している具体的な療育内容の一部を紹介します。

音楽療法

ライフウェルでは音楽療法士の先生に来ていただき、参加するお子さんに合わせた音楽療法を実施しています。

音楽療法は、音そのものや音楽から刺激を受け、リラックス効果やコミュニケーションにつながる効果を得ることで、心身の状態を改善することが目的です。
各活動の中で参加しているお子さんの変化を確認し、状況に合わせた目標を音楽療法士の先生とスタッフとで共有しながら実施しています。

先生の合図に合わせて楽器を鳴らしたり、歌に合わせて滑車で走ったり、季節に合わせた音楽を使用するなどさまざまな取り組みを行う中で、子どもたちは回数を重ねるごとに楽しめる活動や興味のあることの幅が広がっていく様子が見られます。
まず、第一に「音楽を楽しめる」ことを大切に取り組んでいる活動です。

姿勢に対する支援

ライフウェルではお子さんがさまざまな姿勢を取ることができるよう、自宅でも使用できるクッションやタオルを使用して姿勢に対する支援も行っています。

通われているお子さんは重度の障がいを抱えていることも多く、自力で起き上がったり、座った姿勢を保ち続けることが難しい場合もあります。
同一姿勢を取り続けてしまうと、成長するに伴い体の変形が生じてしまったり、呼吸機能が低下する場合もあります。

そのため、先々のリスクについても考慮した上で、セラピストが一人ひとりの発達の状況や身体機能について評価し、小さな頃からさまざまな姿勢が経験できるように関わっています。

スイッチおもちゃの取り組み

ライフウェルでは「遊び」の支援の一環として、IT活用支援のスイッチおもちゃを導入しています。

スイッチおもちゃは、電動のおもちゃや電子機器を改造して外部スイッチを取り付けられるようにしたものです。
お子さんによってIT機器を導入する目的はさまざまですが、まず、「スイッチを押したから何か起きる」といった因果関係を理解する手助けをする目的があります。

光ったり、音が鳴る市販のおもちゃを改造してスイッチを取り付けることで、お子さんの持っている能力を活かした簡単な操作で遊ぶことができます。これにより、気づきを促しやすく、楽しみやすくなります。
また、自分の力で遊ぶことで、達成感が得られやすく、因果関係の理解や手や足の操作性を向上させることにもつながっていくでしょう。

スイッチおもちゃの取り組みについて詳しくはこちらも合わせてご覧ください。

ライフウェルの「遊び」に対する支援|スイッチおもちゃの取り組みをご紹介!

季節を取り入れたイベントの実施

夏は夏祭りや氷を取り入れた遊びを実施したり、秋は運動会、冬はクリスマス会など季節に合わせたイベントを開催しています。

通常の夏祭りやクリスマスなど地域で実施しているイベントでは、人の多さから車椅子ではなかなか参加しにくいという方やお子さんの体調が心配だという方も多くいるでしょう。
ライフウェルの取り組みとしてお子さんに配慮した内容で工夫を行い、季節を感じるイベントを実施することで、楽しんで参加していただけます。

イベントによってはご両親だけではなく、ご兄弟や祖父母の方まで幅広くご参加いただいています。
普段のお子さんとご家族との様子を知ることができたり、お母さま同士、お子さん同士交流していただくことで、日々のリフレッシュとしても活用してもらえたらと考えています。

ライフウェルのイベントについてはこちらも合わせてご覧ください。

【イベント紹介】都城 カラーズで夏祭りを実施しました!

ご家族への取り組み

ライフウェルではお子さん本人だけではなく、ご家族に対する支援も実施しています。
お子さんはご自宅で過ごされる時間が最も多いでしょう。そのため、活動の様子を共有し、ご自宅でもできる活動の提案を行っています。

また、身体が成長するにつれて沢山の福祉用具や補装具が必要になる場合があるため、年に1回、福祉用具の説明会を行っています。
福祉用具に関する制度についてのご説明や実際に用具を手に取ってご覧いただき、専門家にご相談いただける機会を設けているため、安心してご相談していただける機会です。

療育ではできないことだけでなく、できることや得意なことを伸ばしていくことにも着目しているため、お子さんとご家族の「できた」という気持ちを大切に、自己肯定感を高めていくことで自信につなげていきます。

療育を受ける方法

療育を受けるためには、受給者証が必要になります。
そのため、まずはお住まいの地域の医療機関や障害児相談窓口に相談する必要があるでしょう。

その後、自宅から通うことのできる児童発達支援などで見学や体験を行い、利用する場所が決定したら、障害児相談支援事業所に「障害児支援利用計画案」を作成してもらいます。

療育を受ける方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

児童発達支援について

まとめ

今回は療育について内容や効果、重要性について詳しく解説してきました。

療育を受けることで、将来的にお子さんが自立した生活を目指すことができ、生きやすい環境を考えることができるようになるでしょう。

お子さんの障がいの程度や年齢によっても療育の内容は異なるため、専門機関に相談し、適した施設を紹介してもらうことがおすすめです。
療育施設の利用を考えている方は、必要な手続きを踏まえた上で実際に見学に行き、施設の様子を見学してみてください。

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