皆さんは小児リハビリテーションという言葉を聞いたことがありますか?
一般的なリハビリテーションは怪我や病気から身体機能を回復させることが目的とされていますが、小児分野を対象としたリハビリテーションはお子さんの成長発達のサポートも行う部分が大きな違いです。
子どもの発達を理解し、小児リハビリテーションを行うことで、障がいを持っているお子さんのより良い発達を目指すことも期待されています。
今回は小児リハビリテーションの目的や、ライフウェルで実施しているリハビリを詳しくご紹介していきます。
小児リハビリテーションとは
小児リハビリテーションは運動機能や言語の発達に遅れがあったり、障がいを持っているお子さんに対して行うリハビリテーションを指します。
小児分野におけるリハビリテーションは、「子どもや家族のニーズに応じた形ですべての子どもの生涯発達と日常生活支援及びその家族のWell-being(健康と幸せ)を援助する行為全般」です。生活におけるサポートや個々の発達に応じたリハビリを提供することで、お子さんの成長発達を支援するとともに生活の質の向上を目指していきます。
小児リハビリテーションを行う目的
小児リハビリテーションの大きな目的は、発達段階や障がい特性に合わせて運動機能や認知機能などの能力を最大に引き出すことです。
お子さん本人やご家族が現在困っていることを伺いながら、姿勢や歩行などの運動機能のサポートをすることで、少しでも生活のしやすい環境を整えることも行います。
その他にも、将来的に困る可能性があるニ次障害や自立支援に対しても、あらかじめ予測を立てながら予防的に介入していくことも重要な目的となります。
また、小児リハビリテーションではお子さん本人だけではなく、ご家族の育児のサポートや生活全般の支援まで考える必要があることも大きな特徴です。
小児リハビリテーションの内容
小児リハビリテーションでは、お子さんによって異なる特徴があることを理解し、一人ひとりに合った支援を行なっていくことが大切です。
成長発達の段階が異なることはもちろん、お子さんによってできること、苦手とすることは大きく異なります。適切なコミュニケーションを取り、お子さんの日々の様子を見ながら関わることが求められます。
ここからは具体的なリハビリテーションの内容を解説していきます。
運動機能のリハビリテーション
運動機能のリハビリテーションでは、身体の構造や運動の特徴を評価した上でお子さんが楽に過ごすことができる姿勢を取り入れたり、座る、立つなどの姿勢を保つ練習、ハイハイや歩行などの運動をするなど身体面の支援をお子さんに合わせて実施しています。
筋肉の硬さや緊張状態、骨格の問題によって自力で体を動かすことが難しいお子さんは、同じ姿勢で居続けると体の変形や呼吸障害につながってしまう可能性も考えられます。ストレッチや運動などの機能訓練・日々の姿勢ケアを実施することで、健康状態を維持し、いろいろな活動へ参加していくための土台となる体の成長をサポートしていくことはとても重要です。
ライフウェルではお子さんが楽しみながら活動に参加できることも大切にしているため、さまざまな遊びやイベントを通じた支援も実施しています。
詳しくはこちらも合わせてご覧ください。
ライフウェルの「遊び」に対する支援|スイッチおもちゃの取り組みをご紹介!
デジタル領域から行う支援|ライフウェルで「デジリハ」を導入しました!
日常生活のリハビリテーション
小児リハビリテーションの中では、着替え、食事、排泄などの日常生活に必要な動作の支援も行なっています。生活に必要な動作はさまざまあり、例えば、着替えひとつをとっても、服を脱ぐ、洋服を取る、自身で服を着るといった多くの工程が挟まります。これら一つひとつの動作を身につけることは、小児リハビリテーションの一部です。
また、障がいを持っているお子さんは、日常生活において、身近な大人に判断をゆだねることが多く、自己決定が難しい部分もあります。リハビリテーションでは自己決定ができるような声掛けを行うことで、自身のできることに挑戦し、できないことに対し自ら助けを求められるような支援を行うことで、自立に向けたサポートも行なっています。
社会性のリハビリテーション
小児リハビリテーションでは、子ども自身と家族、またはそれ以外の周囲の人達との適切な関わりの中で人間関係を構築していくためのお手伝いをし、社会性を身につける練習をすることもあります。
お子さんの中には言葉でのコミュニケーションを取ることが難しい場合も多くあるため、職員は表情や細かいジェスチャーで感情を読み取りながら接しています。その上で、お子さんがコミュニケーションを取りやすい方法を模索しています。
その他にもお子さんが関わる環境として、ご家庭はもちろん、学校や病院など地域の施設と連携しながら支援を実施していくことも大切です。
ご家族への支援
小児リハビリテーションはお子さん本人のリハビリテーションだけではなく、ご家族の方へのサポートも行います。
ご家族の悩みに寄り添った支援を行うだけではなく、生活のサポートができるように福祉用具の使い方や、お風呂の介助のコツといった生活においての支援方法などをお伝えしています。
その他にもご家族の介助が少しでもスムーズになったり、やってみたいことに挑戦できるようにライフウェルではあらゆる情報提供をしています。
ライフウェルで実施しているリハビリの支援
ライフウェルを利用されているお子さんは、呼吸器を使用していたり、胃ろうが必要だったり、医療的なケアを必要とされている場合も多くあります。直接的にリハビリテーションに関わる作業療法士・理学療法士だけではなく、お子さんの成長をサポートする看護師、保育士が連携して支援をしています。
ライフウェルでは、お子さん一人ひとりの状態に合わせた支援だけではなく、その日の体調や成長に合わせて支援内容は日々工夫しています。それだけではなく、季節のイベントを取れるなどお子さんが楽しめる経験ができるようにライフウェル独自の企画も実施していることが大きな特徴です。
ライフウェルでリハビリの支援をしているセラピストの声も合わせてご覧ください。
セラピストの仕事とは?重症心身障がい児ケアや医療的ケアについてインタビュー
リハビリの事例
ライフウェルにはさまざまな障がいを抱えたお子さんが通われています。
例えば、全身的に筋緊張があるお子さんは普段から同じ姿勢で過ごすことが多いため、姿勢のバリエーションを増やしていくためにリラックスしやすい姿勢や横向きの姿勢の検討を行いました。
まずは、ライフウェルで過ごす時間にクッションやタオルを用いた姿勢設定を行い、姿勢の変化をつくっていきました。慣れてきたら保護者にも伝達を行い、自宅にあるクッションやタオルを持参してもらって姿勢設定を確認し、自宅で過ごす時間に取り入れてもらっています。
お子さんは楽な姿勢を取ることで、活動の時間に周囲に意識を向けやすくなり、変化にしっかり気が付いたり、手を伸ばす、握るなどの動作が行いやすくなってきています。自宅でも取り入れてもらっていることで、姿勢を変えられることに慣れてきて、新しい姿勢の受け入れも良好になりつつあります。
その他の事例もこちらでご紹介していますので、ぜひご覧ください。
ライフウェルで行っているリハビリの事例を紹介!具体的な支援内容を徹底解説
まとめ
今回は小児リハビリテーションの目的や、ライフウェルで実施しているリハビリをご紹介しました。小児リハビリテーションはお子さんの成長を促し、より良い発達を目的に行われます。
ご家族や地域の人とも協力しながら、支援を行なっていくことで将来的にお子さんが生活しやすい環境づくりにもつながっていくでしょう。お子さん一人ひとりに合わせた適切なリハビリテーションを実施していくことで、お子さんもご家族も健康に成長を重ねていくことができます。
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