ライフウェルを利用されているお子さんは重度な障がいを抱えている場合も多く、遊びや経験が不足してしまうことも課題として挙げられていました。
そのため、ライフウェルではお子さんが主体的に参加できるリハビリを目的として、センサーを利用した「デジリハ」を導入しました。
今回は導入した「デジリハ」を用いてライフウェルで行った取り組みや、お子さんの反応をご紹介します。
デジタルを活用してより広範囲の遊びを通したリハビリを体験できるよう、ライフウェルのスタッフ一同尽力しています。
「デジリハ」とは
「デジリハ」はリハビリをアソビに変える、デジタルリハビリツールです。
センサーやデータを活用し、音声や振動、指先の動きに反応してデジタルの画面が動くため、ゲーム要素を取り入れながら楽しくリハビリに参加することができます。
体の動きや認知機能、お子さんの楽しいという感覚を引き出していくような、さまざまな遊びを取り入れてリハビリが実施できる画期的な取り組みです。
ライフウェルでは2024年から取り入れ、お子さんが主体的にリハビリへ参加できる取り組みとして実施しています。
「デジリハ」導入の目的
ライフウェルでは重度な障がいを抱えているお子さんも多く利用されているため、お子さん自身に「楽しい」「もっと遊びたい」「体を動かしたい」と思ってもらうための施策として取り入れました。
スタッフの手で体を動かすのではなく、モチベーションを持って動ける範囲で動いてみたり、さまざまなものに興味を持って主体的に取り組むきっかけとして使用するため、デジリハを導入しています。
また、デジタル製品を取り入れることで、今後より多くの活用方法を検討できるのではないかというスタッフの思いもあります。
「デジリハ」を導入するまでの流れ
ライフウェルでデジリハを導入するにあたって、普段から現場でお子さんと接している看護師、 保育士、理学療法士、作業療法士として専門知識を持ち寄り、導入の検討や活用方法の会議を実施しました。
その後、デジリハの社員の方に事業所でデモンストレーションを実施していただいたり、デジリハアカデミーという各センサーの使用方法や特徴のレクチャー、各導入施設との情報共有を行う研修の場に参加した上で実施にいたりました。
センサーの仕組みや実例を知った上で導入を行なっているため、お子さん一人ひとりに合わせた使用方法でデジリハを使用しています。
ライフウェルで導入した「デジリハ」について
ライフウェルでは今回2種類のセンサーを導入いたしました。
それぞれリハビリの対象となる体の部位や活用方法が異なるため、お子さんに合わせてライフウェル独自の取り組みを実施しています。
今回はそれぞれの特徴や使い方、実際にライフウェルで使用してみた時のお子さんの反応をご紹介します。
HOKUYO URG-04LX-UG01
装置を取り付けると壁に映した映像を直接タッチできるセンサーとなっており、動物が動いたり、景色が変わったりする様子をお子さん自身の動きに合わせて反応させることができるシステムになっています。
壁に映し出した映像も高さを調節することができるため、お子さんの身長や姿勢に合わせてリハビリに適した状態へ設定することができます。
お子さん自身が触れて映像が動く経験をしていただくことで、直接体を動かすリハビリとして使用できるだけではなく、映像を楽しみながら遊ぶ経験をすることも可能です。
取り組み内容とお子さんの反応
ライフウェルでは1日およそ6、7名程度のお子さんが参加しているため、2つのグループに分かれていただき、15分ずつ交代することでしっかりとデジリハを体験していただいています。
初回の取り組みでは壁に映し出されたものを触ってもすぐに動物や風景が動いたことに気づくことが難しかったですが、複数回使用することで継続して参加されているお子さんは反応に気づくのが早くなっていった様子がみられました。
少しずつ自分の好きな動物を見つけて自分で寄っていくような姿も見られ、しっかりと「触ったら動く」という反応を楽しまれていました。
反応に気づきにくいお子さんもスタッフが触って動いた映像に対して、視線が向いていたり、お子さんそれぞれではありますが変化がある取り組みの内容として成功しています。
Moffバンド
手や腕、足の動きを感知するバンドタイプのセンサーを使用して、ゲーム感覚で遊ぶことができます。
パソコン、プロジェクターを起動し、bluetoothでセンサーを接続するだけでかんたんに使用できるだけではなく、手足以外にも棒やボールに取り付けて複数人で遊ぶことも可能です。
また、バンドで実施したゲームではデータが蓄積されるため、お子さんの反応や変化を数値として残しておくことで活用したいという思いもあります。
取り組み内容とお子さんの反応
物を握れるお子さんは2人1組となって棒に取り付けたバンドを揺らすことで、センサーが振動を感知して映像に反映されるような遊びを行いました。
例えば、揺れに反応して植物の蔦が伸びていきお花を咲かせたり、卵にヒビがはいって割れたら動物が出てきたりとゲーム感覚で楽しんでいただけるような取り組みとなっています。
反対に物を握るのが難しいお子さんは、ボールにセンサーを張り付けてボールを叩いた振動で遊んでいただきました。
ボールで行なった取り組みでは、最初はボール自体を叩くことに夢中で映像に気づかないこともありましたが、取り組みの回数を重ねるごとにボール叩くことが目的ではなく、映像の変化を目的にボールを叩いている様子もありました。
また、動きが少ないお子さんに合わせて感度を最大まで上げると少しの動きでも変化が現れるようになります。
動くことが難しいお子さんははじめスタッフの手でサポートをしていましたが、意図的に自分自身で動かそうとしている姿もみられ、お子さんそれぞれの変化を感じられる取り組みになりました。
「デジリハ」の導入を始めたスタッフにインタビュー!
今回は「デジリハ」の導入に携わられた中村さんにインタビューを行いました。
はじめて「デジリハ」を使用されたデモンストレーションの時、中村さんはどのように感じましたか?
ライフェルの利用者さんは重度の障がいをお持ちの方も多いので、定型発達をしているお子さんよりも動かせる体の部位や範囲が限られています。
そのため、主体的にできるゲーム性を持った遊びを考えるのは難しさを感じていたのですが、実際にデジリハを試してみるとお子さんたちが自分自身の持っている動きを最大限に発揮していたように感じました。
少し指先を動かしてみたり、手を振ってみるだけで実際に目の前の映像が動き出すので、それ自体に気づいて楽しんだり、新しくチャレンジしてみようという姿がみられたことが本当に嬉しかったですね。
ここまでお子さんがしっかりと関心を持って楽しむことができる遊びはなかなかないと思います。
導入される上で心配や不安を感じていた部分はありましたか?
デジリハで導入したセンサーが細かい動きにも反応してくれる分、セッティングが複雑だと感じていたので、使用する時に使いこなせるかは心配でした。
また、デジリハ自体の導入事例ではおこさん1人に対してスタッフ1人で実施していることが多かったのですがライフウェルでは集団活動の中で取り入れていきたいという思いがあったので、全員で楽しめるか、とい点では心配がありましたね。
ですが、センサーやシステム面に関してはデジリハの職員さんがしっかりとサポートをしてくれたので、わからない箇所や難しい箇所があればすぐに教えていただくことができました。
実際に事業所にも足を運んでいただいたり、オンラインで教えていただきながら直接教えていただいたことでスムーズな導入につながったと思います。
集団で使用するに当たっては、デジリハアカデミーで参加者同士のアイディア交換をさせていただきました。
その他にも看護師や保育士など異なる職種の方からアドバイスや意見交換を行いながら、基本にとらわれずに使い方を考えることができたことも良かったと思っています。
リハビリの観点からはどのような効果が期待できますか?
重度な障がいをもつお子さんは、主体的に体を動かして自分以外の人や物へ働きかける機会が不足しやすいです。
リハビリとしてお子さんへ運動学習を促していく上では、この主体性がとても重要となるのですが、この主体性を促すためには、さまざまな経験を積み重ねてとにかく興味や関心の幅を広げていく事が重要となります。
デジリハは、様々な種類のセンサーやアプリを駆使して、お子さんの五感を刺激できます。設定を細かく変えることで、運動機能や認知機能のレベルに合わせた遊びを提供する事ができ、狙った動きを誘導していきやすいことが魅力のひとつだと思います。
また、デジリハはリンゴを木から何個落とせた、蔦が何メートル伸びたなど、こういう動きをするのにどれくらいの時間かかったというスコアが指標としてでることも嬉しいです。
データを残していくことで成長や変化を知ることができると思います。
今後実施していきたい取り組みはありますか?
まず、デジリハに関しては継続していく必要があると考えています。
毎回変化を記録していくことでどのくらいの期間でお子さんがどのように変化していったのかという経過を知ることができます。
これにより、それぞれのお子さんの傾向を理解し、さまざまなな支援に繋げていくことができると思います。
そして、今回デジリハを導入したことでセンサーの仕組みを知ることができたので、取り組みの幅を広げていけたら良いと思います。
例えば、現在使用しているスイッチおもちゃと組み合わせて活用したり、使用しているタブレットの設定方法を工夫していくなど試行錯誤していきたいです。
ライフウェルで実施している支援
ライフウェルではお子さんが楽しみながら成長できるよう、さまざまな取り組みを実施しています。
音楽療法や姿勢に対する支援、スイッチおもちゃなどITを活用した支援など、お子さん一人ひとりの症状に合わせてできることを探し、ライフウェル独自に工夫をしています。
ご家庭では経験が難しい夏祭りや遠足などの季節のイベントやヘアカットの取り組みも実施しているだけではなく、ご家族のサポートも行なっているため、安心して相談していただける環境です。
ライフウェルの詳しい取り組み内容はこちらも合わせてご覧ください。
療育(発達支援)とは?なぜ療育は必要なの?療育の内容や効果について詳しく解説
まとめ
今回は導入した「デジリハ」を用いてライフウェルで行った取り組みや、お子さんの反応をご紹介しました。
ライフウェルでは「デジリハ」を導入することでお子さんに楽しんでいただきながら、モチベーションを持ってリハビリを実施することができています。
デジタルを取り入れることで動くことが難しいお子さんでも遊びやゲームを経験していただけるため、今後もよりITを活用しながら多くの支援を実施していきたいと考えています。
デジリハについて興味がある人はぜひお気軽にお問い合わせください。
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