障がい児支援

重症心身障害児の「並行通園」における現状を解説!ライフウェルと幼稚園・保育園の関わりもご紹介

ライフウェルでは並行通園を考えているご家族やお子さんのサポートとして、園庭開放日の利用を行っています。重度な障がいを抱えているお子さんは、幼稚園・保育園を利用することが難しい場合もあります。
しかし、ライフウェルのスタッフがサポートしながら、集団における学びを得ることで新しい気づきを得られることもあります。

今回は並行通園について詳しく解説し、ライフウェルで実施している園庭開放日の利用についての取り組み内容も合わせてご紹介していきます。
障がいを持っているお子さんの幼稚園・保育園に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。

並行通園とは

並行通園とは、療育活動を行うことができる児童発達支援施設と保育園・幼稚園といった集団活動を送ることができる施設に並行して通園することを指します。

療育施設でしか得られない支援と幼稚園・保育園でしかできない経験はそれぞれ大きく異なります。療育施設では年齢や身体の発達に応じた適切な発達支援を受けることができます。一方で、幼稚園・保育園では集団生活における社会性やコミュニケーション能力の向上が期待できます。
だからこそ、医療的ケアなど個別の支援を必要とするお子さんがリハビリや適切なケアを受けながら、同じ年齢のお子さんとの関わりを通してより良い成長のために、双方へ通うことが並行通園を行う主な目的です。

重症心身障害児の並行通園が難しい理由

重症心身障害児のお子さんが通園する場合、通常の幼稚園・保育園の環境以外にもさまざまな条件が整っていることが求められます。特に医療的なケアが必要なお子さんは看護師が常在していることが求められたり、看護師がいない場合であっても、加配の先生や緊急時の対応をできることが必要とされるでしょう。
地域の制度が整っていない現状では、保育園・幼稚園側の環境として、重症心身障害児のお子さんを受け入れられる職員の人数的な余裕がない場合も多いといえます。

また障害の有無に関わらず保育園・幼稚園の定員がいっぱいであることも多く難しい要因の一つです。その他にも、同学年の園児たちにとって、胃ろうなど目で見てわかりにくい場所に病気や障がいを抱えているお子さんを理解することが難しいという課題や、感染症のリスクなど、懸念される事項はさまざまあります。

ライフウェルで実施している幼稚園・保育園と関わるイベント

ライフウェルでは並行通園を検討されているご家庭からの要望や、お子さんにとって幼稚園・保育園における集団活動の経験が必要だと感じた場合、園庭開放日への参加を行っています。
重症心身障害児の受け入れが可能な幼稚園・保育園の見学として、お子さんと同じ学年のクラスで朝からお昼前までの、活動の体験を行っています。

活動内容は、参加する日にちによって異なります。例えば、朝の会から参加し、歌を歌ったり、塗り絵をしたり通常の活動を体験する日もあれば、お遊戯会や運動会の練習を体験することもありました。

園庭開放へ参加する時の工夫

ライフウェルで参加している園庭開放日では、お子さんやご家族のご要望やスタッフの意見を取り入れ、幼稚園・保育園と連携を取りながらさまざまな工夫をしています。

ライフウェルスタッフの同行

現状では幼稚園・保育園側の体制が整っていないこともあるため、園庭開放日にはライフウェルから看護師1名と担当者スタッフ1名の計2名が同行しています。

主にお子さんの緊張をほぐしながら活動への参加を促すような声かけや、必要に応じて活動のサポートをしています。スタッフが多く話しかけてしまうと、周囲の様子を見て学習する機会が失われてしまうことも考えられますので、よい距離感を保ちながらお子さんが自分から参加できるような関わりに気をつけています。

幼稚園・保育園との連携

園庭開放日に参加可能な幼稚園・保育園の調査から、参加日の設定、幼稚園・保育園とのやりとりは全てライフウェルで行っています。
幼稚園・保育園の職員へお子さんの症状や注意事項を事前に伝えたり、当日の活動の流れを確認しておくことで、参加のイメージを共有することも大切にしています。

お子さんの成長を促す

幼稚園・保育園で行われる活動に参加する大きな理由として、集団だからこそ得られる経験でお子さんの成長を促すことがあります。
園庭開放日に参加することで、同学年のお子さんがしてることを見て真似をしてできるようになったり、さまざまな言葉が飛び交う中で新しい単語を習得して「貸して」が言えるようになることもあります。

どういう時に周りのお子さんが泣いてるのか、怒ってるのか、笑っているのか、感情の汲み取りも行えるため、お子さんに新しい経験をしていただくことも心がけているポイントです。

幼稚園・保育園との取り組みについてインタビュー!

ライフウェルのスタッフ・吉留さんへ幼稚園・保育園と関わるイベントについてインタビューを行いました。

ライフウェルではいつから取り組みを始められたのですか?

園庭開放の参加は2024年から実施しています。
ライフウェルを利用しているお子さんは個別支援や医療的ケアが必要である場合も多いため、スムーズに幼稚園・保育園探しをすることが難しいという問題があります。

ライフウェルは少人数制で年齢もバラバラなお子さんが利用されていることで深く療育活動ができるメリットもありますが、同じ年のお子さんと集団で活動する経験は難しいです。そういった経験をさせてあげたいと考えたことが、園庭開放日に参加し始めたきっかけになります。

実際に幼稚園・保育園を訪れたお子さんの反応や、取り組みに対してのご家族のお声も教えてください。

始めに参加されたお子さんは元々気持ちの切り替えが苦手で、自分の思い通りにならないと怒ったり、泣き出したりしていました。ですが、保育園で自分と同じ子どもたちが周りを見ながら動いてるのを自分自身で感じて、ライフウェルにいる時は見せない良い意味での我慢をしている姿が見られたんです。

スタッフから声をかけなくても他のお子さんがしているから、自分もやってみようと思ったり、ルールがある遊びも自分なりに理解をして活動に参加できる様子を見て、改めて集団からの学びも大切だと感じました。

ご家族の方からもなかなか集団の場に行けることが少ないからこそ、幼稚園の雰囲気を感じたり、集団活動を経験できるのはありがたいというお声をいただいています。

今後実施していきたい取り組みはありますか?

まだ、他の取り組みは検討段階ですので、これからも園庭開放日には参加しつつ、地域の施設と情報交換をしながらできることがないか模索していきたいです。

今後も、少しでもご家族とお子さん本人が抱えてる課題をサポートしていきたいです。
課題を完全にクリアすることは難しいかもしれませんが、ライフウェルが地域に住まわれている障がいのあるお子さんとご家族にとって、相談できる場所、力になってくれる場所だと思ってもらえるよう尽力していきます。

最後に、このコンテンツをみた方へメッセージをいただけたらと思います。

一つひとつの課題を解決できるように、ライフウェルでもさまざまな取り組みを実施しています。また、ライフウェルと地域の関わりを通じて、関係機関、相談員さんを中心に病院や学校、幼稚園・保育園と連携を取りながら掛け合っていくこともできると思います。

並行通園が難しいお子さんがライフウェルを利用する魅力

ライフウェルではセラピストや保育士、看護師が連携しながら、専門的な療育活動や幼稚園・保育園と同じ制作や歌、遊びに関わることができる点が大きな魅力です。
医療的ケアや体調の不安を抱えているご家族にとっても、少人数の中で一人ひとりにあった支援を行い、本人の感情を汲み取れる環境は安心できる要素でもあると考えています。例えば、お子さんの体調に合わせた姿勢や遊び、好き嫌いなどの細かな要素を工夫しながら、日々の活動を行えることは大きなメリットです。

また、必要に応じて、地域の病院や学校、幼稚園・保育園に連絡をしながら、できる限りご家族とお子さん本人の希望に合わせて相談をしています。

ライフウェルの支援について、詳しくはこちらも合わせてご覧ください。

ライフウェルの支援内容やスタッフの思いを詳しくご紹介!

まとめ

今回は並行通園について詳しく解説し、ライフウェルで実施している園庭開放日の利用についての取り組み内容も合わせてご紹介してきました。
個別支援や医療的ケアが必要なお子さんにとって幼稚園・保育園と並行通園を行うことの課題はさまざまありますが、その中でもライフウェルはお子さんとご家族にとってより良い方法を検討し、実施しています。

並行通園だけではなく、療育活動やお子さんの成長においてさまざまな悩みを抱えているご家族の相談を深く受け止め、今後もできる限りご家族とお子さん本人の希望に合わせて尽力していきたいと考えています。

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