ライフウェルでは月2回、音楽療法士による音楽療法を実施しています。
音楽療法では、音楽を楽しみながら、音楽に合わせて楽器を演奏したり、体を動かしたりリラックスしたり、さまざまな体験をしていきます。日々の療育に加え、音楽の持っている力をいかして、お子さんの心身の発達を支援していく取り組みです。
今回は実際にライフウェルで行っている音楽療法の取り組みについて具体的な活動内容や、目的、お子さんの様子などをご紹介していきます。
音楽療法とは
音楽療法は音楽の持っている力を効果的に活用して、対象となる子どもたちの支援を行う方法です。
日本音楽療法学会では、音楽療法は次のように定義されています。
音楽療法とは“音楽とは、音楽のもつ生理的・心理的・社会的はたらきを用いて、心身の障害の回復、機能の維持 改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的・計画的に使用することです。”(引用元:日本音楽療法学会)
音楽療法の目的
音楽は「おもしろい」「楽しい」など親しみを持ちやすく、障がいを持つお子さんにとっても、受け入れやすい傾向にあります。
療育の一環として音楽療法を取り入れ、お子さんの個々の特性や成長に合わせ配慮しながら、さまざまな効果へのアプローチを目的を持って行います。
音楽療法の効果とは
・音楽を聴くことでリラックスし緊張がほぐれる
・歌うことで発声や発語を促すきっかけになる
・異なる楽器の音を聴いたり演奏したりすることにより、新しい発見や経験につながる
・楽器の音や触り心地、リズムを感じることにより、満足感や意欲を促し、自発的な動きにつながる
・他者との関わりや協調する心地よさを感じ、社会性を育むきっかけになる
・季節に合わせた取り組みにより、四季を感じる
ライフウェルで実施している音楽療法
ライフウェルでは月2回、約50分の音楽療法を実施しています。
1回の活動でおよそ5~10名ほどが参加し、お子さんだけでなくご家族の皆さんにも一緒に楽しんでいただける活動です。
取り組みやすくするために、お子さんのその日の体調や様子に合わせて、参加しやすい姿勢を整え、一人ひとりのお子さんに寄り添いながら進めていきます。
日頃行っている朝のお集まりから自然に音楽療法へ移行するよう流れを作り、保育士、看護師、作業療法士、理学療法士など各専門職と連携して、主に以下の内容を組み合わせて行っています。
季節に合わせた取り組み
ライフウェルでは季節に合わせた歌や活動を音楽療法に取り入れています。
10月に実施した音楽療法では、音楽に合わせて栗拾いをしたり、いろいろな楽器を体験したり、暗い部屋で光と音を使ってハロウィンの雰囲気を楽しみました。
音楽を全身を使って感じたり、光や音の変化に気づいたりと参加されたお子さん達はそれぞれの好きな刺激や感覚を楽しんでいる様子が見られました。
楽器に触れる
音楽療法の先生にご用意いただいた太鼓やカバサ、チャイム、ギターを使用し、音楽に合わせて音を鳴らす活動も行っています。
キーボードにも触れて演奏をしていただくなど、普段の療育活動の中では触れることが少ない楽器を取り入れることで、お子さんに新しい経験をしてもらうことができます。
楽器を使ったセッションでは、お子さん本人が奏でる音を楽しむだけではなく、誰かと一緒に演奏をしてひとつの音楽を作る体験として、つながりを感じてもらう経験も感じられるでしょう。
音楽と組み合わせる
楽器だけではなく、音楽に合わせてカードを使用したり、トランポリンやスクーターなどのダイナミックな動きを取り入れたり、映像を合わせて使用することも多くあります。
動くことが難しいお子さんは抱っこで動くなど工夫をしながら、運動機能に対するリハビリとして手や足、全身を使って音楽を楽しんでいただく取り組みも実施しています。
寝そべった状態で壁の映像をみていただき、講師の方が演奏する音楽を聞く時間もあります。
具体的な実施内容
〇ふれあい遊び
・タッチングなど
〇歌や手遊び
・日頃の療育の中で取り入れているもの
・季節を感じらせるもの など
〇さまざまな楽器とのふれあい
・太鼓 ・カバサ ・ツリーチャイム ・キーボード ・ギター など
〇楽器でのセッション
・お子さん本人が奏でる自分の音を楽しむ体験
・誰かと一緒に演奏して音楽を作る体験
・誰かと音を合わせてつながりの体験 など
〇音楽に合わせ全身を使った動き
・トランポリン ・バランスボール ・歩く、走る、止まる など
〇聴覚と視覚の調和を感じる
・音楽に合わせ絵カード遊び、部屋全体に映像を映す など
音楽療法のインタビュー!
音楽療法士・藤本先生とライフウェルのスタッフ・長野さんへ音楽療法についてインタビューを行いました。
音楽療法士・藤本先生
ライフウェルではいつから音楽療法を始められたのですか?
ライフウェルさんでは、10年ほど前から関わらせていただいています。
実際に音楽療法の時間は私が受け持っておりますが、スタッフの方と協力をし合いながら進めることでより効果的な音楽療法を実施できていることを感じていますね。
音楽療法を実施する日の前に、打ち合わせをしています。
お子さんの状態をうかがいつつ、今気をつけるべきこと、求められていることはどのようなものなのか、情報を確認した上で療育に則した形で音楽療法を実施しております。
音楽療法の中で今後実施していきたい取り組みはありますか?
現在もさまざまな楽器を使用していますが、楽器活動はおもしろさ、楽しさを感じやすくお子さんに合わせた活動ができます。
いろいろな効果が期待できると考えていますので、今後も活動の中心として実施していきたいです。
また、生活の中でわかりやすい季節や行事を音楽の中でも取り入れ、音楽とともに楽しみたいと思っています。
最後に、初めて音楽療法を知る方にメッセージをいただけたらと思います。
音楽の力をいかしながら、音楽療法を行っています。
音楽を聴いたり、実際にやってみることによって「これなんだろう」「ドキドキする」「気持ちいいな」「やった!できた」など気持ちが動くこと、そして体が動くことを大切にして楽しみながら、いろいろな体験をしたいですね。
音楽療法では、音楽というみんなが楽しめるツールでコミュニケーションを取れるので、ぜひ一度参加して音楽療法の魅力を感じてみてほしいです。
ライフウェルスタッフ・長野さん
音楽療法の先生と実施している会議ではどのような話し合いを行っていますか?
会議では、事前にスタッフ間で打ち合わせをした内容やアイデアを先生にお伝えし、相談しています。
イメージを共有しながら、参加予定のお子さんの様子に合わせた内容を一緒に検討し、最終的なプログラムを先生にお願いする形です。
新しいことが苦手なお子さんも安心して参加できるよう、日頃の療育で行っている活動を発展させる内容も取り入れていただいていますね。
その他、実施するために必要な道具などの準備物の確認も必ず行っています。
参加されたお子さんの反応はいかがですか?
音に気付き楽器を目で追ったり、好きな歌や楽器を前にして声を出したり手足を動かして喜んだり、先生とのセッションで同じリズムを奏でるお子さんなどさまざまです。
お子さんによって反応は違いますが、みんなそれぞれの形で音楽への気付きを表現し、豊かな表情を見ると楽しんでいることが伝わりますね。
「気持ちが動く」とはこのようなことなのか感じている姿を見ると、私も嬉しくなります。珍しい楽器には私自身もお子さんと「ドキドキ・わくわく」を共有しながら、一緒にその空間を楽しんでいます。
音楽療法の中で今後実施していきたい取り組みはありますか?
行事や季節に合わせた手遊びのバリエーションを増やしていき、音楽療法を一緒に楽しみたいです。
また、今以上にお子さんの「気持ちが動く」姿を見ることができるよう、今後も他のスタッフと一緒にさまざまな内容やアイデアを出し合い、提案していきたいと思っています。
ライフウェルの療育
ライフウェルではお子さん一人ひとりの状態や特性に合わせた療育を行っています。
子ども達の成長速度はとても早いため、なるべく早い時期から適切な支援を受けて、学習を積み重ねていくことで本来持っている能力をさらに引き出せたり、将来起こりうる二次障害を予防することができるでしょう。
音楽療法だけではなく、スイッチおもちゃなどデジタルを取り入れた取り組みや季節に合わせたイベントも実施しています。
また、お子さん本人の支援だけではなく、ご家族の支援も行っています。
詳しい取り組み内容についてはこちらも合わせてご覧ください。
療育(発達支援)とは?なぜ療育は必要なの?療育の内容や効果について詳しく解説
まとめ
今回は実際にライフウェルで行っている音楽療法の取り組みについて具体的な活動内容や、目的、お子さんの反応などをご紹介しました。
音楽療法では音楽の持っている力を効果的に活用して、子どもたちの支援を行っていますが、一番大切なことはお子さんが楽しんで参加できる活動であることです。
お子さんの不安を取り除き、楽しい経験として音楽活動を行うことで、リラックスできたり、コミュニケーションを図ったりしながら、発達支援へつなげていきます。
ライフウェルでは音楽療法以外にもさまざまな取り組みをしているため、少しでも活動が気になった方はぜひ他のコンテンツもご覧ください。
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