障がい児支援

児童発達支援施設における保育士の働き方とは?療育の仕事内容や役割を徹底解説!

保育士資格を取得した方の就職先でもっとも多いのは保育園でしょう。しかし、保育園のみが就職先になるとは限りません。
幼稚園や託児所、ベビーシッターなど、実は保育園以外にも保育士の資格を活かせる選択肢は豊富にあり、近年は児童発達支援の場においても保育の力が必要とされています。
この記事では、児童発達支援の場で働く保育士の仕事内容や役割、魅力を紹介していきます。新しい場で保育士の資格を活かしたいと考えている方は、ぜひ最後まで一読ください。

発達支援(療育)とは?

児童発達支援とは、厚生労働省では以下のように定義されています。

児童発達支援は、障がいのある子どもに対し、身体的・精神的機能の適切な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために行う、それぞれの障がいの特性に応じた福祉的、心理的、教育的及び医療的な援助である。(出典:児童発達支援ガイドライン|厚生労働省

つまり、発達障害や発達に遅れのある子どもたちがより良い生活を送れるよう、それぞれの状態に応じたサポートを行うことをいいます。
少子化が囁かれて久しい現代ですが、児童発達支援の利用児童数は、平成26年度から令和元年度で約3.3倍に増加しており、保育士の需要も年々高まっているのが現状です。

児童発達支援施設

児童発達支援施設は、児童福祉法の改正により2012年から新たにスタートした障がいをもつお子さんの自立支援をサポートする施設のこと。発達支援(療育)を行う場所は主に以下の3つの施設で行われます。
各施設それぞれの特徴や役割についてみていきましょう。

児童発達支援事業所

児童発達支援事業所は、発達障害や発達に遅れがある未就学の子どもたちを受け入れ、集団生活に適応できるようサポートを行う通所施設のこと。
発達支援やカウンセリング、リハビリなどのケアを行い、子どもたちだけでなく、その家族に対しても支援を提供し負担を軽減することも目的としています。

また、後述で解説する児童発達支援センターに比べ、通所しやすいよう数多く設置しているのも児童発達支援事業所の特徴といえます。

児童発達支援センター(療育センター)

児童発達支援センターは、児童発達支援事業所の内容に加えて、子どもたちが通っている保育園・幼稚園に助言や援助をしたり、障害を持つ子どもや家族に対し発達に関する相談や専門家によるアドバイスも行います。

日常生活における基本的動作の指導や集団生活に適応するための訓練を行う「福祉型」と、福祉サービスに併せて治療も行う「医療型」の2種類があります。

放課後等デイサービス

児童発達支援とは少しだけ異なりますが「放課後等デイサービス」も児童福祉法に基づく福祉サービスのひとつです。
子どもたち一人ひとりに寄り添った支援を行うという点では共通していますが、未就学児が対象の児童発達支援に対し、放課後等デイサービスは、小学生から高校生までの就学児(大学生は除く)を対象としているのが主な違いです。

両者は共通点も多いため、場所によっては、児童発達支援施設と放課後等デイサービスを併設している施設もあります。

児童発達支援では保育士の存在が不可欠

児童発達支援事業所および、児童発達支援センターでは保育士の配置が法律で定められており、必要不可欠な存在となっています。
同じ児童発達支援でも法律で定められている人員配置の基準は異なり、児童発達支援事業所は保育士の他に管理者が1名以上、児童発達支援管理責任者1名以上、児童指導員・看護職員・機能訓練担当職員が勤務。

児童発達支援センターは職種や人数が若干増え、施設長・管理者1名以上、児童発達支援管理責任者1名以上、保育士・児童指導員・看護職員・機能訓練担当職員・医師・聴能訓練担当職員・栄養士・調理員1名以上が勤務することになっています。

児童発達支援における保育士の仕事内容

児童発達支援の基本がわかったところで、次は具体的な仕事内容をみていきましょう。

子どもたちへの支援

児童発達支援の仕事のもっとも基本であり、重要になるのが子どもたちへの支援です。
子どもたちが将来日常生活を円滑に営めるように、基本的な動作の指導や集団生活に適応するための支援、知識技能の付与など、必要に応じてさまざまな支援を行います。
具体的には、食育や着替えといった日常生活の支援、ちょっとしたゲーム・室内遊びなどが例として挙げられます。

保護者への支援

児童発達支援では、保護者の相談支援業務も重要な仕事のひとつになります。
ご家族が安心して子育てをおこなうことができるよう、面談形式のヒアリングや相談会を実施したり、子どもとの関わり方に対する相談や助言も行います。
また、ご家族に代わって一時的なケアを行うことで、少しの間だけ子育てから離れリフレッシュしていただく、レスパイトケアとしての役割も担っています。

その他の業務

その他では、一人ひとりに合わせた個別支援計画書の作成や施設の環境整備、送迎なども行います。
もちろんここで挙げたのは一例で、児童発達支援事業所やセンターによってスケジュール、業務内容は異なりますので、あくまでも参考程度に留めておきましょう。

児童発達支援の場で働く魅力

記事をご覧になっている方の中には、今は保育園で働いていて児童発達支援施設への転職を検討しているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最後に、保育士が児童発達支援施設で働くうえでどのようなメリットがあるのか、児童発達支援の環境で働く魅力について解説していきます。

子ども一人ひとりに寄り添える

児童発達支援施設の定員は10名ほどなので、一人ひとりの子どもに寄り添ってじっくりと関わることができます。
発達支援が必要な子どもたちは、言葉だけではなかなか伝わらないことも多く、思い通りにいかずに難しく感じることも多々あります。
だからこそ上手く伝わった時の喜びもひとしおで、より一層子どもの成長を肌で感じることができますし、仕事に対して大きなやりがいを感じるでしょう。

また、子どもたちだけでなく保護者一人ひとりとも密に関わることができるため、より信頼関係が築きやすい点も、児童発達支援施設で働くメリットといえます。

キャリアアップにつながる

保育士にも園長や主任保育士など、スキルや経験をいかしてキャリアアップしていく道筋もあります。一方で、制度が曖昧になっている現場もあり、自身の希望通りのキャリアアップが望めない場合もあります。

児童発達支援施設では、機能訓練担当職員や看護職員といった各分野のスペシャリストと協力して業務に取り組みことになるため、保育園ではなかなか得られない貴重な経験をすることができるでしょう。
加えて、発達障害についての知識やスキルの習得もできるため、今後のキャリアアップの可能性がより広がっていくことも期待できます。

まとめ

今回は、児童発達支援施設における保育士の働き方について解説してきました。
児童発達支援施設は社会貢献できる仕事であり、法律で人員配置が義務付けられているように、保育士の知識やスキルが必要とされている業界です。

実際に保育園でも保護者が気づかなかった細かい特徴に気付き、発達障害の発見に至ったという事例も少なくありません。
大きなやりがいを感じることができる仕事なので、子どもたちの成長に携わりたい、保育士としてのスキルを磨きたいという方、ぜひ児童発達支援に挑戦されてみてはいかがでしょうか。

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