ライフウェルでは2〜3ヶ月に一度、福祉美容師の資格を取得されている美容師の方をお呼びして、ご希望されるお子さんにヘアカットの取り組みを実施しています。
普段お子さんと時間を共に過ごしている看護師やセラピストがそばで付き添いながら、安心して過ごせる環境で行うヘアカットはご家族の皆さまからも好評です。
今回はヘアカットの取り組み内容やの目的を詳しくご紹介します。
障がいを持っているお子さんのヘアカットに悩んでいる方や、福祉美容師に興味がある方はぜひ最後までご覧ください。
障がいがあるお子さんのヘアカットが難しい理由
ライフウェルを利用されているお子さんは重度な障がいを抱えており、呼吸器やバギーなど医療機器をつけたままカット台やシャンプー台に座ることが難しいという人も多いです。
美容室の入り口が狭くバギーで入ることができないことや心理的に初めての場所への入室を怖がられたり、長時間座っていることが難しいということもあります。
ハサミやバリカンなどが医療機器に引っかかってしまったり、お子さんが怖がって動かれる危険性もある中では、通常の美容室、美容師さんではなく、知識を持った福祉美容師の方にお願いする必要があるでしょう。
福祉美容師はどんな資格?
福祉美容師とは、美容師としての資格や知識を身につけているだけではなく、ご高齢の方や身体的な介助が必要な方などへの正しい介助方法を身につけた美容師の資格です。
介助が必要な方は寝たきりの姿勢で行うカットやシャンプーの他、それぞれの状態に合った適切なヘアカットが必要です。
福祉美容師として知識を持っていると、ご家族や介護に関わる方も安心してカットを任せることができます。
福祉美容師は介護施設やご自宅などご本人が安心できる場所に出向いてカットをする働き方を選ばれる方もいらっしゃるそうです。
ライフウェルで実施している「ヘアカット」の取り組み
ライフウェルでは2〜3ヶ月に一度、福祉美容師の方をお呼びしてお子さんのヘアカットを事業所で実施。
利用者の方にはご希望の日程やヘアスタイル、ご要望を事前にアンケートでお答えいただき、当日は本人が楽な姿勢でカットを受けていただいています。
事業所にはストレッチャーに乗った状態で入れるミスト浴のご用意など設備も整っているため、ヘアカットも安心して受けていただくことができます。
ライフウェルのヘアカットの工夫
ライフウェルで実施しているヘアカットでは、お子さんやご家族のご要望やスタッフの意見を取り入れ、お子さん本人も楽しくヘアカットを行うことができるよう、さまざまな工夫をしています。
お子さんに合わせて工夫を変える
ライフウェルをご利用されているお子さんの症状はさまざまあるため、ヘアカットひとつでもお子さんに合わせた対応をしています。
例えば、長時間座るのが難しいお子さんは、普段から親しんでいるスタッフがお子さんに合ったおもちゃや音楽、動画などを選定し、一緒に遊びながらカットを行いました。
人工呼吸器を使用しているお子さんは、看護師さんやサポートスタッフが常に付き添いながら安心していただける環境づくりにも力を入れています。
その他にも、姿勢に対する取り組みではお子さんに合わせて座位保持装置を使用したり、寝たままのカットや抱っこした状態でのカットも行っています。
コミュニケーションで安心できる
美容師の方を中心に、お子さんがヘアカットを怖がらないようなコミュニケーションも意識しています。
初めてバリカンを使うタイミングでは、カットをする前に必ず一度音を出して「怖くないよ」「痛くないよ」と機械を見せ、声をかけながら少しずつカットに移っていきます。
カットのペースや方法もお子さんに合わせつつ、表情や様子を細かく見ながら実施することが大切です。
ご家族の負担を軽減
ヘアカットの取り組みではご家族の「助かります」というお声をいただくことも多くなっています。
男の子であればすっきりとした短い髪型を、女の子であれば結べる長さで跳ねないようになどのご要望をお伺いしてヘアカットを実施しているため、今まで美容院にはいけなかったという人でも好みのヘアスタイルでカットできるようになりました。
ヘアカットの取り組みについてインタビュー!
ライフウェルのスタッフ・吉留さんと甲斐さんへ、ヘアカットについてインタビューを行いました。
ライフウェルではいつからヘアカットの取り組みを始められたのですか?
甲斐さん:取り組みは3年ほど前からはじめました。
美容室に連れていくのが難しいお子さんを、ライフウェルという福祉に精通している場所でカットしていただくことを目的にはじめました。
吉留さん:ライフウェルの事業所であれば、バギーの上や寝たままの状態でもカットしていただくことが可能です。
また、ストレッチャーで入っていただけるお風呂があることからも、カット後に髪を流していただいてから帰ることもできるのではないか、という考えもありましたね。
長いからお母さんが切らないとという状態ではなく、お子さんもワクワクしながら、ご家族の方も美容師さんにヘアカットを依頼する経験ができるという魅力もあるのではないかと思いました。
実際にヘアカットをされているお子さんの反応やご家族のお声も教えてください。
チカさん:鏡を見ながらカットをされるお子さんは、カットをする前と後の髪型の違いが自分自身で分かってニコニコされていたり、何度もヘアカットに参加されている人は「次は私だね!」とジェスチャーして楽しみにされている様子も見られますね。
吉留さん:ご家族の方もすっきりした様子を見られて「もっと期間を短くしてほしい」という要望があるほど、取り組み自体に感謝されることが多いです。
今後実施していきたい取り組みはありますか?
甲斐さん:今後もヘアカットは継続していきたいですね。
吉留さん:新しい取り組みに関しては、やはりご家庭によっても困っていることや、どのようなことを実施して欲しいのか、異なる部分がありますので、日常生活のコミュニケーションの中でできることを探していきたいと考えています。
夏祭りでは混雑する会場をバギーで回るのが難しかったり、暑い中外で過ごせないという場合もあり行くことをあきらめてしまうというお声もあり、ライフウェルではご家族で参加できる夏祭りを行いました。お花見やハロウィンクリスマスイベントも実施しています。
今後もお子さんが難しいものをライフウェルでできる擬似体験として行いたいですね。
甲斐さん:ご家族が参加できたり、助けになる取り組みもスタッフ全員で考えていきたいです。
最後に、今後ヘアカットの取り組みを受けたいと考えている人に向けてメッセージをいただけたらと思います。
チカさん:ヘアカットを実施している日は、ライフウェルの事業所を利用する日の中で、お子さん自身が可愛くなったり、かっこよくなったりを体験できることが魅力だと思っています。
ぜひ一度体験していただけたら嬉しいです。
吉留さん:「美容室は行けないかな」と思われているご家族の方も多いと思うのですが、実は福祉美容師の免許を持っている方がいたり、ライフウェルのように事業所で取り組みを実施している場所もあると思います。
障がいを抱えているお子さんのヘアカットをしたいと考えているご家族の方には、ぜひ「お子さんに合わせたヘアカットができる」ということを知っていただきたいです。
ライフウェルで行っている支援
ライフウェルではお子さん一人ひとりの状態や特性に合わせた療育を行っています。
今回ご紹介したヘアカット以外にも定期的なお出かけや音楽療法なども実施し、お子さん本人やご家族の方が楽しんで参加できる取り組みも企画しています。
日常的な取り組みの中でも姿勢に対する支援や、スイッチおもちゃなどデジタルに触れる機会も作っているので、詳しい取り組み内容についてはぜひこちらも合わせてご覧ください。
療育(発達支援)とは?なぜ療育は必要なの?療育の内容や効果について詳しく解説
まとめ
今回は、ライフウェルで実施しているヘアカットの取り組み内容や目的を詳しくご紹介しました。実際に対応しているスタッフの声も紹介しているので、取り組みの様子も知っていただけたら幸いです。
障がいを抱えているお子さんそれぞれの特性から、ヘアカットは難しいのではないか、美容院には行けないと考えているご家族の方も多いでしょう。
ですが、福祉美容師という身体介助などを学ばれた美容師の方であれば、お子さんに合わせた対応も可能です。
ライフウェルではヘアカットだけでなく、音楽療法や姿勢に対する支援など、さまざまな取り組みをしています。
お子さんのことでお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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